源泉徴収票の見方は?年収・所得・控除・所得税を会社員向けに解説【2026年版】

源泉徴収票の各項目を確認するイメージ お金の学び直し

年末から年明けに会社から受け取る「給与所得の源泉徴収票」。住宅ローンや転職、確定申告で必要になる書類ですが、数字の意味を一つずつ説明できる人は多くないかもしれません。


源泉徴収票には、額面年収に近い金額、税金を計算するための所得、所得控除、最終的な所得税額が1枚にまとめられています。


私は40代が見え始めたアラフォーの会社員です。FP3級・簿記3級を取得し、現在はFP2級を勉強しながら、お金について学び直しています。


同時に、数百万円単位の負債を返しながら、家族の生活と老後資金づくりを両立しようとしている途中でもあります。


源泉徴収票を読めるようになると、「年収がいくらか」だけでなく、「なぜこの所得税額になったのか」「控除が反映されているか」を確認できます。


この記事では、2026年分の制度を前提に、会社員が最初に見るべき項目と年収500万円の試算例を整理します。



先に結論:最初に見るのは上段の4項目


源泉徴収票を受け取ったら、まず上段にある次の4項目を確認します。







項目意味
支払金額会社から1年間に支払われた給与・賞与の総額。一般にいう額面年収に近い金額
給与所得控除後の金額支払金額から給与所得控除を差し引いた税法上の給与所得
所得控除の額の合計額基礎控除、社会保険料控除、扶養控除などの合計
源泉徴収税額年末調整後に、その年の給与から納めた所得税・復興特別所得税

大まかな流れは次のとおりです。


支払金額
-給与所得控除
=給与所得

給与所得
-所得控除
=課税所得

課税所得×税率-速算表の控除額
=所得税額

所得税額+復興特別所得税
-税額控除
=最終的な税額の目安

「給与所得控除後の金額」や「所得控除の額の合計額」は、銀行口座へ振り込まれた手取り額ではありません。



源泉徴収票とは


給与所得の源泉徴収票は、会社が1年間に支払った給与・賞与と、給与から徴収した所得税などを記載した書類です。


会社員の所得税は、毎月の給与や賞与からいったん概算で源泉徴収され、年末調整で年間税額との差額を精算します。源泉徴収票には、その精算後の結果が記載されます。


在職者には原則として翌年1月31日まで、年の途中で退職した人には退職後1カ月以内に交付されます。


出典:国税庁「給与所得の源泉徴収票」



「支払金額」は一般にいう額面年収


「支払金額」は、その会社が1月1日から12月31日までに支払った給与と賞与の合計です。一般に「年収」と呼ばれる金額に近い項目です。


基本給だけでなく、残業手当、役職手当、住宅手当、賞与など、課税対象となる給与が含まれます。一方、一定の範囲内の通勤手当など、非課税となるものは通常含まれません。


支払金額500万円と記載されていても、銀行口座へ500万円が振り込まれたわけではありません。社会保険料、所得税、住民税などが引かれる前の金額です。



「給与所得控除後の金額」は手取りではない


会社員には、仕事に必要な経費を一人ずつ集計する代わりに、給与収入に応じて一定額を差し引く「給与所得控除」があります。


2026年分に給与収入500万円の場合、給与所得控除は次の式で計算します。


500万円×20%+44万円
=144万円

したがって、給与所得控除後の金額は356万円です。


500万円-144万円
=356万円

356万円は手取りではなく、所得税を計算する出発点となる「給与所得」です。



「所得控除の額の合計額」とは


所得控除は、本人や家族の事情を税額計算へ反映する仕組みです。代表的なものには次があります。



  • 基礎控除

  • 社会保険料控除

  • 配偶者控除・配偶者特別控除

  • 扶養控除

  • 生命保険料控除

  • 地震保険料控除

  • 小規模企業共済等掛金控除(iDeCoの掛金など)

  • 障害者控除、ひとり親控除、寡婦控除


2026年分は税制改正後の基礎控除を確認する必要があります。合計所得金額489万円以下の人の基礎控除は、2026年分・2027年分の時限措置として104万円です。


源泉徴収票では、個別の控除欄と「所得控除の額の合計額」を照合します。



「源泉徴収税額」は実際に納めた所得税


「源泉徴収税額」は、年末調整後に給与から納めた所得税と復興特別所得税の合計です。


毎月の給与明細にある所得税を単純に12カ月分足した金額と一致しないことがあります。月々は概算で徴収し、年末調整で生命保険料控除や扶養状況などを反映して精算するためです。


還付金があった場合も、源泉徴収票の税額は精算後の数字です。



年収500万円の源泉徴収票を読み解く


次の条件で単純化して計算します。



  • 給与収入:500万円

  • 給与所得控除:144万円

  • 給与所得:356万円

  • 基礎控除:104万円

  • 社会保険料控除:75万円

  • その他の所得控除・税額控除:なし


所得控除の合計は179万円です。


基礎控除104万円
+社会保険料控除75万円
=179万円

課税所得は177万円です。


給与所得356万円
-所得控除179万円
=課税所得177万円

課税所得177万円は、所得税率5%の区分です。


177万円×5%
=所得税8万8,500円

復興特別所得税は基準所得税額の2.1%です。


8万8,500円×2.1%
=約1,858円

合計は概算で約9万358円です。









項目試算額
支払金額500万円
給与所得控除後の金額356万円
所得控除の額の合計額179万円
課税所得177万円
所得税8万8,500円
復興特別所得税込み約9万358円

実際の源泉徴収税額は、端数処理、ほかの所得控除、住宅ローン控除などによって異なります。



社会保険料等の金額


「社会保険料等の金額」には、給与や賞与から差し引かれた健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料、雇用保険料などが含まれます。


社会保険料は、支払った全額が社会保険料控除の対象です。給与明細の年間合計と大きく違わないか確認します。


転職した年に前職分を含めて年末調整している場合は、前職で支払った社会保険料も合算されることがあります。



生命保険料・地震保険料の控除額


生命保険料や地震保険料を支払った場合、年末調整で控除証明書を提出すると、該当欄に控除額が記載されます。


支払った保険料の全額がそのまま控除額になるとは限りません。保険の区分や契約時期に応じた上限と計算式があります。


控除証明書を提出し忘れた場合は、年末調整後でも確定申告で控除を受けられることがあります。



iDeCoの掛金はどこで確認するか


iDeCoの掛金は小規模企業共済等掛金控除の対象です。


個人払込で年末調整を受けた場合などは、「社会保険料等の金額」欄の内書きとして記載されることがあります。源泉徴収票の様式では、社会保険料等の金額の内訳として小規模企業共済等掛金の額を確認します。


掛金を納めたのに反映されていない場合は、会社へ控除証明書を提出したか、給与天引きか個人払込かを確認します。



住宅ローン控除の確認方法


住宅ローン控除は「所得控除」ではなく、計算後の所得税から差し引く「税額控除」です。


年末調整で適用された場合は、「住宅借入金等特別控除の額」や住宅ローンに関する摘要欄を確認します。


住宅ローン控除の初年度は原則として確定申告が必要です。2年目以降は、必要書類を勤務先へ提出すれば年末調整で対応できる場合があります。


所得税から控除しきれない額は、一定の範囲で翌年度の住民税から控除される場合があります。



配偶者・扶養親族の情報


源泉徴収票には、配偶者控除・配偶者特別控除の額、控除対象扶養親族の人数などが記載されます。


結婚、離婚、子の就職、親との同居、配偶者の収入増減などがあった年は、申告した内容と一致しているか確認します。


扶養の判定は、健康保険上の扶養と税法上の扶養で基準が異なります。「健康保険の扶養に入っているから税法上も同じ」とは限りません。



ふるさと納税は源泉徴収票だけでは確認できない


ふるさと納税のワンストップ特例を利用した場合、所得税からの還付はなく、原則として翌年度の住民税から控除されます。


そのため、源泉徴収票にふるさと納税額が直接記載されるわけではありません。翌年6月頃に届く住民税決定通知書の寄附金税額控除欄などを確認します。


確定申告をした場合は、所得税と住民税の双方へ控除が反映されますが、やはり源泉徴収票だけで最終結果を確認することはできません。



NISAや企業型DCの残高は記載されない


源泉徴収票は給与と税金の書類です。NISAの残高、投資信託の評価額、企業型DCの運用残高、預金残高、借入残高は記載されません。


家計や資産全体を把握するときは、源泉徴収票だけでなく、預金、投資、企業型DC、負債を別の一覧へまとめます。



転職した年の源泉徴収票


年の途中で転職した場合、前職の源泉徴収票を転職先へ提出すると、前職と現職の給与を合算して年末調整してもらえることがあります。


前職分を提出できなければ、転職先は前職の給与や税額を把握できません。その場合は自分で確定申告が必要になることがあります。


源泉徴収票が複数ある場合は、「最も新しい1枚だけ」で年収を判断せず、どこまで合算済みかを確認します。



源泉徴収票を受け取れない・紛失した場合


源泉徴収票を紛失した場合は、まず勤務先または元勤務先へ再発行を依頼します。


会社が交付期限を過ぎても発行しない場合は、税務署へ「源泉徴収票不交付の届出書」を提出できる制度があります。提出前に、会社へ交付を求めた記録を残しておくと状況を説明しやすくなります。


出典:国税庁「源泉徴収票不交付の届出手続」



住宅ローンや家計管理で使うときの注意


住宅ローンや賃貸契約などで年収証明として源泉徴収票を提出することがあります。


ただし、支払金額は手取りではありません。借りられる金額と、家計から無理なく返せる金額は別です。


返済計画では、支払金額ではなく、税金・社会保険料を引いた実際の手取り、生活費、教育費、老後資金を確認します。



負債返済中に確認したい数字


私自身も数百万円単位の負債を返している途中です。


源泉徴収票を見るときは、年収が増えたかだけでなく、次の数字を確認します。



  1. 支払金額は前年より増減したか

  2. 社会保険料はいくらだったか

  3. 所得控除が正しく反映されているか

  4. 源泉徴収税額はいくらか

  5. 毎月の手取りと返済額はいくらか

  6. 賞与を除いても返済を続けられるか


額面年収が増えても、税金や社会保険料が増えれば、手取りが同じ割合で増えるとは限りません。


昇給や賞与だけを理由に返済額や積立額を大きく増やさず、年間の手取りを確認してから調整します。



ファイナンシャルプランへの組み込み方


源泉徴収票から次の数字を家計表へ転記します。









項目記入する数字
年間の給与収入支払金額
税法上の給与所得給与所得控除後の金額
所得控除所得控除の額の合計額
所得税源泉徴収税額
社会保険料社会保険料等の金額
住宅ローン控除住宅借入金等特別控除の額

さらに給与明細や住民税決定通知書を使って、手取りと住民税を補います。源泉徴収票1枚で家計全体が完成するわけではありませんが、年間収入と所得税を確認する土台になります。



今日できること


今日は税額を一から計算する必要はありません。直近の源泉徴収票を開き、次の項目を書き出してください。


支払金額:
給与所得控除後の金額:
所得控除の額の合計額:
源泉徴収税額:
社会保険料等の金額:
生命保険料の控除額:
地震保険料の控除額:
住宅借入金等特別控除の額:

前年分があれば横に並べ、増減を確認します。


最初に理解したいのは、支払金額と手取りが違うこと、給与所得控除後の金額も手取りではないことです。


源泉徴収票を「提出するだけの紙」から、「自分の年収・所得・控除・所得税を確認する年1回の家計資料」に変える。それが、税金と手取りを理解する第一歩です。





参照した公式情報




注意書き


本記事は2026年9月22日時点で確認できる国税庁の公表情報をもとに、給与所得の源泉徴収票の一般的な見方をまとめたものです。本文中の年収500万円の試算は、給与所得控除144万円、基礎控除104万円、社会保険料控除75万円、その他の控除なしという仮定による概算です。実際の税額は、給与・賞与、社会保険料、扶養親族、各種所得控除・税額控除、年末調整、確定申告、端数処理などによって異なります。勤務先から受け取った源泉徴収票と国税庁の最新情報をご確認いただき、個別の税務判断は税務署または税理士へご相談ください。

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