生命保険料控除はいくら?計算方法と2026年からの子育て世帯向け特例を解説

お金の学び直し

生命保険や医療保険へ加入していると、秋ごろに「生命保険料控除証明書」が届きます。

勤務先から年末調整の書類を渡され、とりあえず証明書の金額を書き写している人も多いのではないでしょうか。

生命保険料控除は、その年に支払った対象保険料に応じて、所得から一定額を差し引ける制度です。ただし、支払った保険料がそのまま戻るわけではありません。

年間保険料:8万円
所得税の生命保険料控除:4万円
実際に減る所得税:4万円×本人の所得税率

また、2026年分の所得税からは、23歳未満の扶養親族がいる場合、新契約の一般生命保険料控除を最大6万円とする特例が設けられました。従来の最大4万円から引き上げられています。

私は40代が見え始めたアラフォーの会社員です。FP3級・簿記3級を取得し、現在はFP2級を勉強しながら、お金について学び直しています。

同時に、数百万円単位の負債を返しながら、家族の生活と老後資金づくりを両立しようとしている途中でもあります。

保険は家族を守るためのものですが、控除を受けられるという理由だけで契約を増やせば、家計から出ていく保険料も増えます。

この記事では、生命保険料控除の仕組み、2026年からの特例、所得税と住民税の違い、年末調整の手続きを整理します。

先に結論:保険料の全額が戻る制度ではない

確認項目 基本的な扱い
控除の種類 所得控除
主な区分 一般生命・介護医療・個人年金
新契約 2012年1月1日以後に締結
旧契約 2011年12月31日以前に締結
新契約の所得税上限 原則として各4万円
3区分合計の所得税上限 12万円
23歳未満の扶養親族がいる場合 新契約の一般生命は最大6万円
住民税の合計上限 7万円
申告方法 年末調整または確定申告
確認資料 生命保険料控除証明書

生命保険料控除は、税額から直接差し引く「税額控除」ではありません。

所得-生命保険料控除=税率を掛ける課税所得が減る

そのため、同じ控除額でも、本人の所得税率や課税状況によって実際の軽減額は変わります。

生命保険料控除とは

生命保険料控除は、納税者が対象となる生命保険料、介護医療保険料または個人年金保険料を支払った場合に利用できる所得控除です。

給与収入-給与所得控除=給与所得
給与所得-基礎控除-社会保険料控除-生命保険料控除-その他の所得控除=課税所得

生命保険料控除が増えると課税所得が減り、その結果として所得税や翌年度の住民税が軽減されます。

出典:国税庁「No.1140 生命保険料控除」

控除は3つの区分に分かれる

区分 主な保障内容
一般生命保険料控除 死亡保障、一定の生存保障など
介護医療保険料控除 医療、がん、介護など
個人年金保険料控除 一定の要件を満たす個人年金保険

保険会社から交付される生命保険料控除証明書に、一般生命、介護医療、個人年金のどの区分へ申告するかが記載されています。一つの契約に死亡保障と医療特約などが含まれる場合もあるため、証明書に記載された区分と金額を確認します。

2026年から子育て世帯向けの特例が始まった

2026年分の所得税から、年齢23歳未満の扶養親族がいる人を対象とする生命保険料控除の特例が新設されました。対象になる場合、新契約の一般生命保険料控除の上限が4万円から6万円へ引き上げられます。

年間の新生命保険料 2026年分の所得税控除額
3万円以下 支払保険料の全額
3万円超6万円以下 支払保険料×1/2+1万5,000円
6万円超12万円以下 支払保険料×1/4+3万円
12万円超 6万円

ただし、増額されるのは新契約の一般生命保険料控除です。介護医療保険料控除と個人年金保険料控除は各4万円のまま、3区分合計の上限も12万円です。

一般生命:最大6万円
介護医療:最大4万円
個人年金:最大4万円
単純合計:14万円
ただし全体の上限:12万円

23歳未満の家族がいるというだけで自動的に適用されるとは限りません。税法上の扶養親族に該当するかを、年末調整の申告内容と合わせて確認します。

出典:国税庁「年末調整がよくわかるページ(令和8年分)」

新契約の所得税控除額

年間の支払保険料 所得税の控除額
2万円以下 支払保険料の全額
2万円超4万円以下 支払保険料×1/2+1万円
4万円超8万円以下 支払保険料×1/4+2万円
8万円超 4万円

例えば、新契約の医療保険へ年間6万円を払った場合、控除額は「6万円×1/4+2万円=3万5,000円」です。年間保険料が8万円を超えると、その区分の所得税控除額は原則4万円で頭打ちになります。

旧契約の所得税控除額

年間の支払保険料 所得税の控除額
2万5,000円以下 支払保険料の全額
2万5,000円超5万円以下 支払保険料×1/2+1万2,500円
5万円超10万円以下 支払保険料×1/4+2万5,000円
10万円超 5万円

旧契約には独立した介護医療保険料控除がありません。契約日が分からない場合は、控除証明書の「新制度」「旧制度」などの表示を確認してください。

新契約と旧契約が両方ある場合

一般生命保険料控除と個人年金保険料控除について、新契約だけ、旧契約だけ、新旧をそれぞれ計算して合算する方法を比較します。新旧を合算する場合、その区分の上限は原則4万円です。旧契約だけを使うと最大5万円になる場合もあります。

2026年分は23歳未満の扶養親族に関する特例も加わるため、複数契約がある場合は控除証明書を勤務先の年末調整システムへ契約ごとに正確に入力しましょう。

住民税の控除額は所得税と異なる

年間の支払保険料 住民税の控除額
1万2,000円以下 支払保険料の全額
1万2,000円超3万2,000円以下 支払保険料×1/2+6,000円
3万2,000円超5万6,000円以下 支払保険料×1/4+1万4,000円
5万6,000円超 2万8,000円

一般生命、介護医療、個人年金の各区分は最大2万8,000円ですが、3区分合計の上限は7万円です。「所得税で4万円だから住民税でも4万円」とは計算しないようにします。

出典:豊田市「市税ガイド2026」

年間8万円の保険料を払った場合

項目 金額
年間保険料 8万円
所得税の所得控除 4万円
住民税の所得控除 2万8,000円

これらは、実際に戻る税金の金額ではありません。

3区分すべてに加入している場合

区分 年間保険料 所得税の控除額
一般生命 8万円 4万円
介護医療 8万円 4万円
個人年金 8万円 4万円
合計 24万円 12万円

住民税では各区分2万8,000円でも合計上限が7万円なので、生命保険料控除は7万円です。

控除額と実際に減る税金は違う

所得税率10%、住民税の所得割を10%と仮定すると、所得税の控除12万円による軽減額は約1万2,000円、住民税の控除7万円による軽減額は約7,000円です。復興特別所得税を除く単純計算では合計約1万9,000円です。

保険料支出:24万円
税負担軽減:約1万9,000円

「最大12万円控除」を「12万円が還付される」と受け取らないようにします。

配偶者名義の保険料を支払った場合

生命保険料控除では、契約者名だけでなく、誰が実際に保険料を支払ったかを確認します。妻が契約者でも夫が保険料を負担し、保険金受取人の条件などを満たせば、夫の控除対象になる場合があります。

反対に、妻自身が支払った保険料を、所得の高い夫が自由に申告できるわけではありません。

出典:国税庁「妻が契約者の生命保険料」

個人年金保険なら何でも対象になるわけではない

  • 年金受取人が保険料を支払う本人またはその配偶者である
  • 保険料を10年以上にわたり定期的に支払う
  • 原則として年金受取人が60歳になってから支給を開始する
  • 年金の支給期間が10年以上または終身である

一般的には、控除証明書に「個人年金保険料」と記載されているかを確認します。

出典:国税庁「No.1141 生命保険料控除の対象となる保険契約等」

年末調整の手続き

控除証明書を受け取る
↓
給与所得者の保険料控除申告書へ記入
↓
勤務先へ提出または提示
↓
年末調整
↓
源泉徴収票で確認

申告時には保険会社名、契約者、受取人、新旧の区分、一般生命・介護医療・個人年金の区分、本年中に支払った保険料を確認します。

控除証明書をなくした場合

契約している保険会社へ再発行を依頼します。マイページやマイナポータル連携から電子データを取得できる場合もあります。年末調整に間に合わなくても、源泉徴収票と控除証明書を用意し、確定申告で追加できます。

控除のために保険へ入る必要はない

生命保険料控除を受けられることは、保険が必要であることの証明ではありません。

  1. 万一の場合に家族が不足する金額を見積もる
  2. 公的保障と勤務先の保障を確認する
  3. 預貯金で対応できる金額を確認する
  4. 不足部分を民間保険で補う
  5. 契約後に生命保険料控除を申告する

「節税になるから保険に入る」のではなく、「必要な保障へ加入した結果として控除を利用する」と考える方が家計を整理しやすくなります。

負債返済中の保険の考え方

私自身も数百万円単位の負債を返している途中です。家族を守る保障は必要ですが、保険料を払い過ぎると、返済や生活防衛資金の確保が難しくなります。

  1. 家族に必要な保障額を確認する
  2. 遺族年金、傷病手当金、高額療養費などを確認する
  3. 勤務先の死亡退職金や団体保険を確認する
  4. 重複している保障を探す
  5. 保険料を減らした場合の返済効果を試算する
  6. 必要な契約について控除を申告する
控除枠が余っている
≠
保険へ追加加入した方がよい

今日できること

今日は保険を解約したり、新たに契約したりする必要はありません。手元の生命保険料控除証明書を並べ、次の項目を確認してください。

保険会社:
年間保険料:
新契約・旧契約:
一般生命・介護医療・個人年金:
契約者:
実際に支払った人:
保険金の受取人:

次に、前年の源泉徴収票で「生命保険料の控除額」を確認します。23歳未満の扶養親族がいる場合は、2026年分の特例が年末調整へ反映されるかも確認しましょう。

控除額を計算する前に、「何のために払っている保険料なのか」を一つ確認する。それが、保険と家計を見直す最初の一歩です。


本記事は2026年9月26日時点で確認できる国税庁および自治体の公表情報をもとに、生命保険料控除の一般的な仕組みをまとめたものです。適用可否や控除額は、扶養関係、契約日、保険の区分、実際の支払者、保険金受取人、剰余金・割戻金、ほかの契約などによって異なります。本文中の税負担軽減額は税率を仮定した概算であり、実際の還付額を保証するものではありません。個別の取扱いは勤務先、保険会社、税務署、市区町村または税理士へご確認ください。

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