会社員のiDeCo上限はいくら?勤務先の企業年金を確認する方法【2026年12月改正対応】

「老後資金づくりにはiDeCoがよいらしい」

そう聞いて調べ始めたものの、自分が毎月いくらまで積み立てられるのか分からず、止まってしまった人もいるのではないでしょうか。

会社員のiDeCoには、月額2万円や2万3,000円といった数字が出てきます。さらに企業型DC、確定給付企業年金、DBといった言葉も並びます。

私も制度表を見たとき、「結局、自分はどの区分なのか」がすぐには分かりませんでした。

会社員のiDeCo上限は、年齢や年収だけで決まるものではありません。勤務先に企業年金があるか、その企業年金へ会社がいくら拠出しているかによって変わります。

さらに、2026年12月1日からは拠出限度額の仕組みが変更される予定です。

この記事では、40代が見え始めたアラフォーの会社員として金融を学び直している私が、勤務先の制度を確認する順番と、iDeCoの上限の考え方を整理します。

先に結論:会社員のiDeCo上限は一律ではない

2026年11月までの会社員のiDeCo上限は、原則として次のように分かれます。

勤務先の制度 iDeCoの上限
企業年金がない 月額2万3,000円
企業型DCやDBなどがある 原則月額2万円まで
企業型DCでマッチング拠出を利用している 原則iDeCoとの同時利用不可(2026年12月以降も継続)

ただし、企業年金がある人は、単純に全員が月額2万円を拠出できるわけではありません。

iDeCoの掛金
+企業型DCの事業主掛金
+DBなどの他制度掛金相当額
=月額5万5,000円以内

勤務先の企業年金に対する会社の拠出額が大きい場合、iDeCoへ出せる金額が2万円未満になることがあります。最低掛金である月額5,000円を下回る場合は、iDeCoへ掛金を拠出できません。

まず「月2万円まで出せる」と考えるのではなく、自分の勤務先にどのような企業年金があるのかを確認することが出発点です。

まず勤務先の企業年金を確認する

企業型確定拠出年金(企業型DC)

会社が従業員のために掛金を拠出し、従業員自身が商品を選んで運用する制度です。運用結果によって、将来受け取る金額が変わります。

給与明細や社内サイトに「企業型確定拠出年金」「企業型DC」「DC年金」「選択制DC」などの名称で記載されていることがあります。

確定給付企業年金(DB)

会社が定めた規約などに基づき、将来の給付額を計算する企業年金です。DCとは異なり、加入者が個別に投資信託を選んで運用する仕組みではありません。

社内資料では「確定給付企業年金」「DB」「企業年金基金」「キャッシュバランスプラン」「退職年金制度」などの名称が使われることがあります。

退職一時金だけであれば、ここでいう企業年金とは扱いが異なります。名称だけで判断せず、勤務先の資料を確認しましょう。

勤務先の制度を調べる4つの方法

1.給与明細を見る

企業型DCの加入者掛金やマッチング拠出を利用している場合、給与明細に記載されていることがあります。ただし、会社が負担する事業主掛金は、給与明細に表示されない場合もあります。

2.社内ポータルを検索する

社内サイトで「退職金」「企業年金」「確定拠出年金」「DC」「DB」「福利厚生」「退職給付」を検索してみてください。「退職金規程」「企業年金規約」「福利厚生ガイド」といった資料が見つかる可能性があります。

3.入社時や制度説明会の資料を見る

企業型DCへ加入している場合、運営管理機関から届いた資料や、加入者サイトの案内が残っていることがあります。加入者サイトでは、現在の残高だけでなく、会社が毎月拠出している金額を確認できる場合があります。

4.人事・福利厚生窓口へ確認する

資料を見ても分からなければ、担当部署へ次のように聞けば十分です。

iDeCoへの加入を検討しています。
当社で加入している企業年金制度の種類と、iDeCoの拠出限度額を確認する方法を教えてください。

個人的な資産状況や老後計画まで説明する必要はありません。企業年金の種類と、自分に適用されるiDeCo上限を確認したい、と伝えればよいでしょう。

2026年11月までの掛金上限

現在、iDeCoの掛金は月額5,000円以上、1,000円単位で設定できます。

会社員で企業年金がない場合、上限は月額2万3,000円です。企業型DCやDBなどに加入している場合は、原則として月額2万円までですが、次の計算によって実際の上限が決まります。

5万5,000円
-企業型DCの事業主掛金
-DBなどの他制度掛金相当額
=iDeCoへ拠出できる金額

ただし、iDeCo自体の上限は月額2万円です。

計算例1:企業年金の掛金相当額が2万円

5万5,000円から2万円を差し引くと、残りは3万5,000円です。この場合でも現在のiDeCo上限は月額2万円なので、最大2万円まで拠出できます。

計算例2:企業年金の掛金相当額が4万8,000円

5万5,000円から4万8,000円を差し引くと、残りは7,000円です。この場合、iDeCoへ拠出できる上限は月額7,000円になります。

計算例3:残りが5,000円未満

計算後の残額が4,000円だった場合、iDeCoの最低掛金である5,000円を下回るため、掛金を拠出できません。

現在の詳しい計算方法は、iDeCo公式サイトの制度改正案内厚生労働省「確定拠出年金の拠出限度額」で確認できます。

2026年12月から何が変わるのか

2026年12月1日から、会社員の確定拠出年金に関する上限が変更される予定です。

主な変更点は、企業年金の有無によって分かれていた枠を整理し、会社員については企業年金とiDeCoを合わせた共通上限を月額6万2,000円とすることです。

区分 2026年11月まで 2026年12月から
企業年金なしの会社員 iDeCo月額2万3,000円 iDeCo月額6万2,000円
企業年金ありの会社員 iDeCo原則月額2万円まで 企業年金とiDeCoの合計で月額6万2,000円
共通枠 月額5万5,000円 月額6万2,000円

企業年金がある会社員の場合、改正後の基本的な考え方は次のようになります。

6万2,000円
-企業型DCの事業主掛金
-DBなどの他制度掛金相当額
=iDeCoへ拠出できる金額

現在設けられている「iDeCoは月額2万円まで」という個別上限は撤廃される予定です。たとえば、企業年金の掛金相当額が月額3万円なら、計算上はiDeCoへ月額3万2,000円まで拠出できることになります。

改正内容と施行日は、厚生労働省「2025年の制度改正」および2026年12月以降のDC拠出限度額資料で公表されています。

なお、2026年12月以降も、企業型DCのマッチング拠出とiDeCoを同時に利用することはできません。勤務先がマッチング拠出を導入している場合、加入者はマッチング拠出かiDeCoのどちらか一方を選びます。

すでにマッチング拠出を利用している人でも、所定の手続きを経てマッチング拠出を停止し、iDeCoへ切り替えることは可能です。ただし、両方へ同時に掛金を出すことはできません。

参考:厚生労働省「2020年の制度改正」

また、2026年4月1日には、マッチング拠出の加入者掛金が事業主掛金を超えてはならないという制限が撤廃されています。これはマッチング拠出の利用枠に関する変更であり、iDeCoとの同時利用が可能になったという意味ではありません。

ただし、上限が増えることと、上限まで拠出すべきことは別の話です。

上限まで積み立てる必要はない

iDeCoには、掛金が全額所得控除になるメリットがあります。国税庁も、個人型年金加入者掛金は小規模企業共済等掛金控除の対象となり、その年に支払った掛金の全額を所得から控除できると案内しています。

参考:国税庁「小規模企業共済等掛金控除」

一方で、iDeCoの資産は原則として60歳まで引き出せません。税金が軽減されるからといって生活費や緊急資金まで拠出すると、家計が苦しくなったときに対応できなくなる可能性があります。

私自身、数百万円単位の負債を返しながら家族の生活を守る立場で、お金を学び直しています。

その立場から考えると、優先したいのは「制度上いくら出せるか」だけではありません。

  • 毎月の返済に遅れが出ないか
  • 急な支出に対応できる現金があるか
  • 近い将来に使う予定のお金を残せるか
  • 掛金を長く続けられるか

この4点を確認したうえで、余裕資金の範囲から始める方が現実的です。

iDeCoは月額5,000円から設定でき、掛金額は原則として年1回変更できます。掛金の拠出自体を止めることも可能です。ただし、拠出を止めても、積み立てた資産を原則60歳まで自由に引き出せるようになるわけではありません。

参考:iDeCo公式サイト「加入資格・掛金・受取方法等」

iDeCoを始める前に確認したい4項目

1.勤務先の企業年金

企業型DC、DB、企業年金基金などの有無を確認します。

2.自分の拠出上限

企業年金がある場合は、会社の事業主掛金や他制度掛金相当額も確認します。

3.毎月無理なく続けられる金額

制度上の上限ではなく、家計上の上限を考えます。負債返済中であれば、返済資金や生活防衛資金を圧迫しないことが前提です。

4.金融機関の手数料と商品

iDeCoは金融機関によって、運営管理手数料、商品ラインナップ、サポート内容が異なります。また、投資信託を選ぶ場合は、商品の信託報酬も継続的にかかります。

金融機関は「おすすめランキング」だけで即決せず、iDeCo公式サイトの運営管理機関一覧を使って比較しましょう。

NISAとiDeCoは目的が異なる

比較項目 NISA iDeCo
主な税制優遇 運用益が非課税 掛金の所得控除、運用益非課税、受取時の控除
引き出し 原則いつでも可能 原則60歳まで不可
主な目的 幅広い資産形成 老後資金づくり
掛金・投資額 家計に合わせて調整しやすい 月額5,000円以上、原則年1回変更

近い将来に使う可能性があるお金なら、引き出しやすさのあるNISAや預貯金が向く場合があります。老後まで使わないと決められるお金で、所得控除も活用したいなら、iDeCoを検討する余地があります。

大切なのは、制度名から選ぶのではなく、お金を使う時期から考えることです。

今日できること

今日は、iDeCoの口座をすぐに申し込む必要はありません。まず勤務先の社内サイトで、次の3語を検索してみてください。

  • 企業型DC
  • 確定給付企業年金
  • 退職金

資料が見つかったら、制度名と会社の掛金額をメモします。分からなければ、人事・福利厚生窓口へ「iDeCoの拠出上限を確認したい」と問い合わせる。

ここまでできれば、自分が毎月いくら出せるのかを判断する準備が整います。

焦って金融商品を選ぶ前に、自分が加入している制度を知る。それも、老後資金づくりの立派な一歩です。


本記事は、2026年7月31日時点の厚生労働省、国税庁およびiDeCo公式サイトの公表情報をもとに、一般的な制度の概要をまとめたものです。2026年12月1日施行予定の内容を含みます。個別の拠出限度額は勤務先の企業年金制度や掛金額などによって異なります。加入前に勤務先、運営管理機関またはiDeCo公式サイトでご確認ください。本記事は特定の金融商品への投資を推奨し、将来の運用成果を保証するものではありません。

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