借金返済とNISA、どちらを優先する?負債を抱える私が考えた5つの順番

「借金があるのに、NISAを始めてもよいのだろうか」

お金の勉強を始めた頃、私が何度も考えたことです。

老後に向けた資産形成は、早く始めたほうがよいと言われます。一方で、借金には毎月利息がかかります。

返済だけを続けていると、老後への準備が遅れているようで不安になる。だからといって投資にお金を回すと、返済を後回しにしているような落ち着かなさが残る。どちらを選んでも、何かを間違えているような気がしていました。

私は現在、40代が見え始めたアラフォーの会社員です。お金との向き合い方を誤り、数百万円単位の負債を抱えています。その返済を続けながら、FP3級と簿記3級を取得し、現在も家計管理やNISA、年金について勉強しています。

この記事では、借金返済とNISAのどちらかを一律に正解とするのではなく、私自身が優先順位を考えるために確認した5つの項目を整理します。

返済とNISAを考える順番

01 暮らし生活費を守る
02 金利残高と条件を確認
03 返済遅れなく続ける
04 積立余裕資金で検討

結論:金利と生活状況を見ずに決めない

借金返済とNISAの優先順位は、借入金の金利や返済状況によって変わります。ただし、基本となる考え方はシンプルです。

  • 生活に必要なお金を確保する
  • 借入残高と金利を確認する
  • 返済が遅れているなら立て直しを優先する
  • 余裕資金の範囲で資産形成を考える
  • 投資をする場合も、無理のない少額から始める

金融庁も、資産形成を考えるうえで最初に挙げているのは金融商品選びではなく、「家計管理とライフプランニング」です。株式や投資信託には元本割れの可能性があり、利益は約束されていません。まず家計を整え、そのうえで長期・積立・分散投資を考えることが基本とされています。

参考:金融庁「資産形成の基本」

1.借入金の金利を確認する

最初に確認したいのは、借金がいくらあるかだけではありません。大切なのは金利です。

仮に100万円を借りていて、残高が1年間変わらないと単純化すると、年間の利息はおおよそ次のようになります。

100万円を1年間借りた場合の利息目安

1%
約1万円
3%
約3万円
5%
約5万円
10%
約10万円
15%
約15万円

※単純計算による目安です。実際の利息は返済方法、返済日、残高の推移などによって異なります。

借金を返済すれば、その後に発生するはずだった利息を確実に減らせます。一方、投資による利益は確定していません。年間5%で運用できる年もあれば、大きく値下がりする年もあります。

例えば借入金利が5%だからといって、「投資で5%以上増やせばよい」と単純に考えることはできません。返済による利息の軽減と、値動きのある投資の期待収益は、同じ5%でも性質が異なるからです。

  • 現在の借入残高
  • 適用金利
  • 毎月の返済額
  • 完済予定時期

私は残高だけを見ていた頃よりも、金利と返済予定を一緒に確認するようになってから、ようやく自分の状況を具体的に考えられるようになりました。

2.生活予備資金をゼロにしない

借金を早く減らしたいからといって、手元のお金をすべて返済に回すのも危険です。

病気やけが、家電の故障、冠婚葬祭、車検など、生活には予定していなかった支出があります。預貯金がない状態で急な支出が発生すると、再びクレジットカードの分割払いや新たな借入れに頼ることになりかねません。

必要額に万人共通の正解はありません。雇用や収入は安定しているか。共働きか、一人の収入に依存しているか。病気や休職時に使える制度があるか。車や住宅など、まとまった支出の予定があるか。こうした条件によって変わります。

大切なのは「生活予備資金は○か月分」と数字だけを覚えることではなく、自分の家庭で突然収入が減った場合に、どの程度の期間を乗り切る必要があるかを考えることです。

参考:金融庁「高校生のための金融リテラシー講座」

3.返済が苦しくなっているなら、投資より相談を優先する

返済が遅れている、返済のために別の会社から借りている、返済すると家賃や光熱費を払えない。こうした状態にある場合は、NISAを始めることよりも、返済状況を立て直すことが先です。

これは意志の強さだけで解決する問題ではありません。政府広報は、借金問題を解決して生活を立て直すためには、まず相談することが重要だと案内しています。自治体、法テラス、弁護士会、日本クレジットカウンセリング協会など、無料で利用できる相談窓口もあります。

参考:政府広報オンライン「キャッシングやローン返済でお困りのかたへ」

資産形成を始めるために、返済の苦しさを隠す必要はありません。暮らしが崩れそうなときに助けを求めることも、お金を立て直すための行動の一つです。

4.NISAの枠を急いで埋める必要はない

NISAには税制上のメリットがあります。2026年7月時点では、つみたて投資枠が年間120万円、成長投資枠が年間240万円で、併用すると年間最大360万円まで投資できます。生涯を通じた非課税保有限度額は1,800万円です。

参考:金融庁「NISAを知る」

ただし、これは「毎年360万円を投資しなければ損をする」という意味ではありません。投資可能額の上限であって、目標額でも義務でもありません。

NISAを使っても、購入した投資信託や株式が値下がりする可能性はあります。借金返済や生活費に必要なお金を投資に回してしまえば、値下がりしている時期に売却せざるを得なくなるかもしれません。

NISAの非課税保有期間は無期限で、制度も恒久化されています。「今年の枠を使い切らなければ」と焦るよりも、自分の家計が継続できる状態になってから利用するほうが、長期投資の考え方に合っています。

5.返済か投資かの二択にしない

借金があるなら、投資は一切してはいけない。反対に、老後が不安なら、すぐにNISAを始めなければならない。どちらか一方に決めなければならないように考えると、動けなくなることがあります。

返済が計画どおりに進み、生活予備資金も確保できているなら、家計に無理のない少額で積立投資を始める考え方もあります。

余裕資金を考える4つの段階

  1. 生活予備資金を確保する
  2. 約定どおりの返済を行う
  3. 追加返済に充てる
  4. 残った範囲で少額の積立を検討する

ただし、借入金利が高い場合や返済に不安がある場合は、投資を急がず、返済を厚くするほうが合理的なことがあります。重要なのは「月にいくら投資すべきか」ではなく、その金額を相場が下落したときにも無理なく積み立て続けられるかです。

私が大切にしているのは、資産額よりも家計が壊れないこと

投資の情報を見ていると、毎月の積立額や資産額を人と比べたくなります。

40代、資産1,000万円。NISAを年間360万円使い切った。配当金が毎月何万円になった。

そうした数字を見るたびに、自分は遅れているような気持ちになりました。しかし、家庭の状況も収入も、抱えている負債も違います。

私にとって最初に必要だったのは、誰かの資産形成を追いかけることではありませんでした。

負債の残高を確認する。金利を見る。毎月の返済を続ける。家族との生活を守る。そのうえで、将来のために残せるお金を考える。

派手ではありませんが、今の私にとっては、それが資産形成の土台です。

今日の15分でできること

借入先のアプリか契約書を開く

借入残高・金利・毎月の返済額・完済予定日の4項目を、一枚に書いてみてください。

余裕があれば、その下に現在の預貯金と毎月の積立額も書きます。返済と投資のどちらを優先するかは、そこに並んだ数字を見てから考えても遅くありません。

お金の学び直しは、何かを買うことからではなく、今の自分の状態を知ることから始まります。


※本記事は、家計管理や資産形成についての一般的な情報を提供するものであり、個別の返済計画、債務整理、投資判断を助言するものではありません。借入条件や家計状況は人によって異なります。返済が難しくなっている場合は、自治体、法テラス、弁護士会などの専門窓口へご相談ください。投資には元本割れのリスクがあります。制度の利用や商品の選択にあたっては、最新の公式情報を確認し、ご自身の状況に合わせて判断してください。

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