元利均等返済と元金均等返済の違いは?3,000万円の住宅ローンで比較

FP・簿記の学習記録

住宅ローンの試算画面を開くと、「元利均等返済」と「元金均等返済」という選択欄が出てきます。

名前は似ていますが、一定になるものが違います。

  • 元利均等返済:元金と利息を合わせた毎月返済額が一定
  • 元金均等返済:毎月返済する元金が一定

住宅金融支援機構は、元金均等返済について、元利均等返済より当初返済額が多い一方、元金の減少が早く、同じ借入期間なら総返済額が少なくなると説明しています。

ただし、総返済額が少ないから、全員が元金均等返済を選ぶべきとは限りません。初期の返済負担が重くなり、教育費などの支出が多い時期と重なる可能性があるからです。

私は40代が見え始めたアラフォーの会社員です。FP3級・簿記3級を取得し、現在もFP2級の学習を続けています。同時に、数百万円単位の負債を返しながら、家族の生活と将来の資金づくりを両立している途中です。

負債がある立場から見ると、住宅ローン選びで大切なのは「最も総返済額が少ない方法」を探すことだけではありません。返済開始直後も、退職前も、家計が止まらずに回ることが先です。

先に結論:返済額を一定にするか、元金を一定にするか

比較項目 元利均等返済 元金均等返済
一定になるもの 毎月の返済額 毎月返済する元金
当初の返済額 比較的少ない 比較的多い
返済額の推移 原則一定 徐々に減少
元金の減り方 当初は遅い 早い
総利息 比較的多い 比較的少ない
家計管理 しやすい 当初負担に注意
取扱金融機関 多い 限られる場合がある

実際には、金利タイプ、借入期間、家計の余力、教育費、退職予定年齢なども合わせて判断します。

住宅ローンの返済額は元金と利息の合計

毎月返済額=元金の返済+利息

元金は金融機関から借りたお金そのものです。利息は、お金を借りるための費用です。基本的には、その時点のローン残高に金利を掛けて計算されます。

その月の利息=返済前のローン残高×月利

ローン残高が大きい返済開始直後ほど、発生する利息も大きくなります。二つの返済方法の違いは、この「元金」と「利息」をどのように組み合わせるかです。

元利均等返済の仕組み

元利均等返済では、元金と利息を合わせた毎月返済額が、原則として一定になります。返済開始直後は残高が大きいため、返済額の多くを利息が占めます。返済が進むと利息が減り、その分だけ元金の返済に回る割合が増えていきます。

メリット

  • 毎月返済額が原則一定で家計を管理しやすい
  • 元金均等返済より当初返済額を抑えやすい
  • 多くの金融機関で利用できる
  • 教育費などが重なる時期の負担を抑えやすい

注意点

  • 元金均等返済より元金の減少が遅い
  • 同じ借入額、金利、期間なら総利息が多くなる
  • 返済初期に売却するとローン残高が多く残りやすい

元金均等返済の仕組み

元金均等返済では、借入元金を返済回数で割り、毎月同じ金額の元金を返します。利息は、その時点のローン残高に対して計算されます。

毎月返す元金=借入額÷返済回数
毎月返済額=一定の元金+残高に応じた利息

元金が一定額ずつ減るため、利息も次第に少なくなります。その結果、毎月返済額は返済が進むほど減少します。

メリット

  • 元金の減少が早い
  • 元利均等返済より総利息を抑えやすい
  • 返済が進むほど毎月負担が軽くなる
  • 将来のローン残高を把握しやすい

注意点

  • 返済開始直後の負担が大きい
  • 当初返済額を基準に審査される場合がある
  • 取り扱っていない金融機関もある
  • 住宅購入直後の家具・引越し費用と負担が重なりやすい

日本FP協会の住宅ローン教材でも、現在は元利均等返済が主流で、元金均等返済を扱う金融機関は限られると説明されています。

3,000万円・年1.5%・35年で比較

条件 設定
借入額 3,000万円
金利 年1.5%
返済期間 35年
返済回数 420回
ボーナス返済 なし
手数料・団信等 考慮しない
比較項目 元利均等返済 元金均等返済
初回返済額 約9万1,900円 約10万8,900円
最終回付近の返済額 約9万1,900円 約7万1,500円
利息総額 約858万円 約789万円
総返済額 約3,858万円 約3,789万円
総返済額の差 ― 約69万円少ない

元金均等返済の方が、35年間の利息を約69万円抑えられる計算です。ただし、初回返済額は元利均等返済より約1万7,000円多くなります。年間では約20万円の差です。

住宅購入直後は、引越し、家具、家電、固定資産税、修繕費なども発生します。総返済額だけでなく、当初数年間の家計が耐えられるかを確認する必要があります。

※金利が全期間変わらないと仮定した概算です。端数処理や金融機関の計算方法により、実際の返済額とは異なります。

元利均等返済はなぜ元金の減りが遅いのか

3,000万円を年1.5%で借りた場合、初月の利息は概算で3万7,500円です。

3,000万円×年1.5%÷12カ月=3万7,500円

毎月返済額が約9万1,900円なら、初月に減る元金は約5万4,400円です。一方、元金均等返済で毎月返す元金は、3,000万円÷420回=約7万1,400円です。この差が積み重なり、将来の残高と総利息の差になります。

10年後・20年後の残高を比較

経過年数 元利均等返済 元金均等返済 残高の差
5年後 約2,662万円 約2,571万円 約91万円
10年後 約2,297万円 約2,143万円 約154万円
15年後 約1,904万円 約1,714万円 約190万円
20年後 約1,480万円 約1,286万円 約194万円
30年後 約531万円 約429万円 約102万円
35年後 0円 0円 0円

元金均等返済は早い段階から残高を減らせます。ただし、残高が早く減るのは、その分だけ当初から多く返しているためです。魔法のように利息だけが消えるわけではありません。

金利上昇リスクとは分けて考える

「元利均等・元金均等」は返済方法、「固定・変動」は金利の決まり方です。例えば、変動金利の元利均等返済もあれば、全期間固定金利の元金均等返済もあります。

変動金利では、金利が上がれば将来の返済額や総利息が変わる可能性があります。元利均等返済を選べば金利上昇リスクがなくなるわけではありません。

住宅金融支援機構の【フラット35】では、元利均等返済と元金均等返済の両方から返済方法を選択できます。

40代は毎月返済額より完済年齢を確認する

45歳で35年ローンを組むと、計算上の完済年齢は80歳です。

45歳+35年=80歳

今回の例で65歳時点のローン残高は、元利均等返済で約1,480万円、元金均等返済で約1,286万円です。

確認したいのは、毎月返済額だけではありません。退職予定年齢、退職時点の残高、退職後の年間返済額、公的年金、退職金・企業年金、修繕費、管理費、固定資産税まで確認します。

「80歳まで借りられる」と「80歳まで無理なく返せる」は別の話です。

どちらが向いているか

元利均等返済が向いている可能性がある人

  • 毎月の返済額を一定にしたい
  • 住宅購入直後の負担を抑えたい
  • 教育費など近い将来の支出が大きい
  • 余裕資金を現金で残したい
  • 収入増加を前提にせず計画したい

元金均等返済が向いている可能性がある人

  • 当初の返済額を無理なく負担できる
  • 総利息を抑えたい
  • 元金を早く減らしたい
  • 現役期間中の収入が比較的多い
  • 将来の収入減少に備え、返済額を徐々に減らしたい

借入直後の返済額が高くなり過ぎるなら、元金均等返済を選ぶより、借入額そのものを減らす方が家計に合う場合もあります。

繰上返済を前提に借り過ぎない

繰上返済に使う予定のお金が、将来も必ず残っているとは限りません。教育、介護、住宅修繕、病気、転職、車の買替え、物価上昇などがあるからです。

また、繰上返済によって返済期間が10年未満になると、住宅ローン控除の適用に影響する場合があります。将来の繰上返済は「できれば行う選択肢」とし、通常返済だけでも家計が回る借入額にします。

負債返済中に住宅ローンを考える順番

私自身も、数百万円単位の負債を返している途中です。住宅を持つと、ローンに加えて固定資産税、火災・地震保険、管理費・修繕積立金、将来の修繕費も発生します。

  1. 現在の借入残高と金利を書き出す
  2. 住宅購入後も既存債務を返済できるか確認する
  3. 諸費用を払っても生活防衛資金が残るか確認する
  4. 退職時点の住宅ローン残高を試算する
  5. 固定資産税や修繕費を年間支出へ加える
  6. そのうえで元利均等・元金均等を比較する

返済方法は重要ですが、借入額そのものより大きな効果を持つわけではありません。3,000万円を借りるか、2,500万円に抑えるか。その差の方が、二つの返済方法による約69万円の差より、家計へ大きく影響します。

今日できること

検討中の借入額について、元利均等返済と元金均等返済を同じ条件で試算します。

確認項目 記入欄
借入予定額
金利
返済期間
元利均等の初回返済額
元金均等の初回返済額
10年後の残高
退職時点の残高
完済年齢
総返済額

最後に、借入額を100万円減らした場合も試算してください。返済方法を細かく比較する前に、借入額を一段下げると毎月返済額と退職時残高がどれだけ変わるかを見る。その数字が、無理のない住宅価格を考える手がかりになります。


参照した一次・公式情報

注意書き

本記事は2026年10月17日時点で確認できる住宅金融支援機構および日本FP協会の公表情報をもとに、住宅ローンの返済方法を一般化して説明したものです。本文中の返済額、利息、総返済額および残高は、3,000万円を年1.5%・35年・ボーナス返済なしで借り、金利が変わらないと仮定した概算です。実際の金額は、金利の見直し、端数処理、融資手数料、保証料、団体信用生命保険、返済日、金融機関の商品条件などによって異なります。元金均等返済を取り扱っていない金融機関もあります。個別の借入れは、金融機関、住宅金融支援機構、税務署または独立した専門家へご確認ください。

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