「NISAなら、配当金も自動的にすべて非課税になる」
そう考えている人は少なくないと思います。
NISA口座で国内の上場株式を買い、配当金を受け取ったところ、税金が差し引かれていた。そんなときは、NISA制度の対象外の商品を買ったとは限りません。
原因として考えられるのが、配当金の受取方法です。
NISA口座で保有する国内上場株式の配当金を非課税にするためには、原則として証券会社の口座で受け取る「株式数比例配分方式」を選ぶ必要があります。
指定した銀行口座や郵便局で受け取る方式では、NISA口座で購入した株式であっても、配当金に20.315%の税金がかかります。
私は40代が見え始めたアラフォーの会社員です。FP3級・簿記3級を取得し、現在もお金について学び続けています。
同時に、数百万円単位の負債を返しながら、家族の生活と将来の資金づくりを両立しようとしている途中でもあります。
NISAでは、利回りの高い銘柄を探すことだけでなく、制度を正しく使えているか確認することも大切です。
この記事では、NISAの配当金が課税される理由、株式数比例配分方式の意味、証券会社で確認するときの注意点を整理します。
先に結論:証券口座で受け取る設定を確認する
NISA口座で国内上場株式、ETF、REITを保有している人は、配当金や分配金の受取方式を確認します。
| 受取方式 | 受取場所 | NISAでの扱い |
|---|---|---|
| 株式数比例配分方式 | 証券会社の取引口座 | 原則として非課税 |
| 登録配当金受領口座方式 | 指定した一つの銀行口座 | 20.315%課税 |
| 個別銘柄指定方式 | 銘柄ごとに指定した銀行口座 | 20.315%課税 |
| 配当金領収証方式 | 郵便局・ゆうちょ銀行など | 20.315%課税 |
非課税にしたい場合は、証券会社のウェブサイトやアプリで「配当金受取方法」「配当金受領方式」「国内株式配当金」「株式数比例配分方式」などの項目を探します。
表示が「株式数比例配分方式」になっていれば、NISA口座で保有する国内上場株式等の配当金は、原則として証券口座へ非課税で入金されます。
出典:日本証券業協会「NISA口座における上場株式の配当金等受取方式に関する注意事項」
NISAなのに配当金へ税金がかかる理由
NISAでは、対象となる上場株式や投資信託から得た売却益、配当金、分配金が非課税になります。
ただし、国内上場株式等の配当金については、非課税口座を開設している証券会社を経由して受け取ることが条件です。
国税庁も、NISAで非課税となる配当等について、金融商品取引業者等を経由して交付されるもの、つまり株式数比例配分方式を選択したものに限られると説明しています。
上場会社から直接支払われ、銀行口座や郵便局で受け取る配当金は、証券会社側でNISA保有分と確認できないため、課税扱いになります。
配当金の受取方法は3種類ある
1.配当金領収証方式
株主の住所へ配当金領収証が届き、ゆうちょ銀行や郵便局などへ持参して受け取る方法です。NISA口座で保有する株式でも、この方式では配当金に20.315%が課税されます。
2.銀行口座で受け取る方式
銀行口座で受け取る方法には、主に「登録配当金受領口座方式」と「個別銘柄指定方式」があります。
登録配当金受領口座方式では複数銘柄の配当金を一つの銀行口座で受け取り、個別銘柄指定方式では銘柄ごとに振込先を指定します。管理しやすく感じますが、NISA保有分も20.315%課税されます。
3.株式数比例配分方式
保有している株式数に応じた配当金を、その株式を預けている証券会社の取引口座で受け取る方式です。NISAの非課税を適用するには、基本的にこの方式を選びます。
株式数比例配分方式とは
同じ銘柄を複数の証券会社で保有している場合に、それぞれの証券会社へ預けている株数に応じて配当金を受け取る方式です。
| 保有口座 | 保有株数 |
|---|---|
| 証券会社XのNISA口座 | 100株 |
| 証券会社Yの特定口座 | 200株 |
| 合計 | 300株 |
A社の配当金が1株50円なら、証券会社Xには5,000円、証券会社Yには1万円が入ります。NISA口座へ入る5,000円は原則非課税、特定口座へ入る1万円は原則課税です。
配当金10万円では手取りがいくら変わるか
国内上場株式から年間10万円の配当金を受け取る場合を考えます。
株式数比例配分方式で非課税要件を満たす場合
配当金10万円-国内の税金0円=受取額10万円
銀行口座などで受け取る場合
配当金10万円×20.315%=税額2万315円 配当金10万円-2万315円=受取額7万9,685円
| 受取方法 | 税引前配当金 | 税額 | 受取額 |
|---|---|---|---|
| 株式数比例配分方式 | 10万円 | 0円 | 10万円 |
| 銀行・郵便局など | 10万円 | 2万315円 | 7万9,685円 |
実際の配当額は企業の業績や方針によって変わり、配当が支払われない場合もあります。
複数の証券会社を利用している場合
株式数比例配分方式は、原則として証券会社ごとに別々の方式を選ぶ仕組みではありません。一つの証券会社で変更すると、他社で保有する上場株式等にも同じ方式が適用されます。
それぞれの証券会社で保有する株式の配当金は、各証券口座へ振り込まれます。
ただし、信託銀行などの「特別口座」に株式が残っている場合は、株式数比例配分方式を利用できないことがあります。心当たりがある場合は、証券会社や株主名簿管理人へ確認します。
設定変更は配当基準日より前に行う
株式数比例配分方式への変更は、配当金が支払われる直前に行えば必ず間に合うわけではありません。
非課税で受け取るためには、保有銘柄の配当基準日までに手続きを終える必要があります。申込みから反映までの日数は証券会社によって異なります。
- 現在の配当金受取方式
- 変更手続きに必要な日数
- 保有銘柄の配当基準日
株式を購入した時点で確認しておくと安心です。
投資信託の分配金は同じ手続きが不要
NISA口座で保有する一般的な株式投資信託の分配金については、上場株式と同じ株式数比例配分方式の手続きは必要ありません。
| 分配金 | 内容 | NISAでの扱い |
|---|---|---|
| 普通分配金 | 運用収益から支払われる | NISA口座では非課税 |
| 元本払戻金(特別分配金) | 投資した元本の一部払戻し | NISA以外でも課税対象外 |
元本払戻金は利益ではなく、自分が投資した元本の一部が戻ったものです。分配金の額だけでなく、分配後の基準価額やトータルリターンを確認します。
ETF・REITの分配金は設定確認が必要
ETFやREITは証券取引所へ上場しているため、一般的な株式投資信託とは扱いが異なります。NISA口座で保有するETF・REITの分配金を非課税にする場合も、原則として株式数比例配分方式を選ぶ必要があります。
| 商品 | 株式数比例配分方式の確認 |
|---|---|
| 国内上場株式 | 必要 |
| 国内ETF | 必要 |
| 国内REIT | 必要 |
| 一般的な株式投資信託 | 不要 |
なお、外国株式や外国ETFの配当・分配金は、国内上場株式とは税の仕組みが異なります。株式数比例配分方式を選んでいても、現地で課税される税金までNISAによって非課税になるとは限りません。また、国内市場に上場する外国株式についても、銘柄や取扱いによって株式数比例配分方式の対象外となる場合があります。外国株式等を保有する場合は、利用中の証券会社の商品説明と税務上の取扱いをご確認ください。
課税された配当金を確定申告で非課税にできるか
株式数比例配分方式を選ばなかったために課税された配当金は、後から確定申告をしてNISAの非課税扱いへ戻すことはできません。
ただし、課税された配当金については、所得や取引状況により、総合課税、申告分離課税、申告不要のいずれかを選べる場合があります。どの方法が有利かは、所得、配当額、譲渡損失、社会保険料などによって異なります。
配当金を目的にNISAを始める前の注意点
株式数比例配分方式へ変更しても、投資そのもののリスクがなくなるわけではありません。
- 配当金は保証されていない
- 業績によって減配・無配になる可能性がある
- 株価が下落すれば元本割れになる
- 一つの会社へ集中すると影響が大きくなる
- NISA口座の損失は他口座の利益と損益通算できない
- 配当利回りだけでは企業の安全性を判断できない
例えば、年間5万円の配当金を受け取っても、株価が30万円下落すれば、資産全体ではマイナスです。NISAは税制優遇制度であり、利益や配当を保証する商品ではありません。
ファイナンシャルプランへの組み込み方
配当金を老後の収入として計画へ入れる場合は、現在の配当額をそのまま将来の確定収入にしない方が安全です。
| 試算 | 年間配当金の置き方 |
|---|---|
| 基本ケース | 現在の配当実績12万円 |
| 慎重ケース | 減配等を考慮して6万円、または0円 |
配当金を受け取れた場合も、負債の追加返済、生活予備資金、NISAでの再投資、将来の生活費などへ分けられます。
私自身、数百万円単位の負債を返している途中です。
配当金を増やすことだけを目的に、返済資金や家族の生活費まで株式へ回すことはしません。借入金利が年5%で、株式の予想配当利回りが年3%なら、配当は減る可能性がありますが、借入利息は契約に基づいて発生します。
配当金の非課税設定を確認することは大切です。しかし、それ以上に、どのお金を投資へ回してよいかを先に考えます。
今日できること
今日は、株を買い増したり、配当銘柄を探したりする必要はありません。
利用している証券会社のアプリやウェブサイトを開き、次の言葉を一つ検索してください。
配当金受取方法
見つからなければ、「配当金受領方式」「国内株式配当金」「株式数比例配分方式」「口座情報」「お客様情報設定」も試します。
現在の受取方式: 株式数比例配分方式への変更: 変更の反映時期:
すでに株式数比例配分方式になっていれば、新たな変更は必要ありません。国内上場株式やETF、REITを保有していない場合も、今すぐ設定を変える必要はありません。
NISAで何を買っているのかを確認し、必要な人だけが手続きをする。それが今日できる小さな点検です。
注意書き
本記事は2026年9月2日時点で確認できる国税庁、金融庁および日本証券業協会の公表情報をもとに、NISA口座における国内上場株式等の配当金受取方式をまとめたものです。商品、取引市場、居住地、配当の種類、証券会社の取扱いなどによって税務上の扱いや手続きが異なる場合があります。外国株式・外国ETFおよび国内市場に上場する外国株式の配当等は、発行国、上場市場、銘柄、証券会社の取扱いによって課税関係が異なります。設定変更の締切りや反映時期は利用中の証券会社へご確認ください。本記事は特定の銘柄、金融商品、証券会社への投資を推奨するものではありません。


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