40代から資産形成を始めても、もう遅い。
そんな言葉を目にすると、少し胸がざわつきます。
20代から積立投資を続けてきた人。すでに何千万円もの資産を持つ人。そうした話と比べれば、自分には時間もお金も足りないように感じるからです。
私は現在、40代が見え始めたアラフォーの会社員です。しかも、数百万円単位の負債を返しながら、家族の生活と老後の準備を考えています。
「もっと早く始めていれば」と思うことはあります。
それでも、過去に戻ることはできません。できるのは、今日の数字を確認し、これからの時間をどう使うかを考えることです。
結論からいえば、40代からの老後資金づくりは、決して早くはありません。しかし、遅すぎるとも思いません。
この記事の結論
- 40代から65歳までは、まだ20〜25年ある
- 目標額より先に、年金・退職金・企業年金を確認する
- 焦って大きく投資せず、家計・返済・生活資金を整える
40代には、まだ20年以上の時間がある
40歳から65歳までは25年あります。45歳からでも20年です。
厚生労働省の「令和7年簡易生命表」によると、40歳の平均余命は男性42.29年、女性48.05年です。平均余命は一人ひとりの寿命を示すものではありませんが、老後が短い数年間だけの問題ではないことはわかります。
参考:厚生労働省「令和7(2025)年簡易生命表―主な年齢の平均余命」
老後に向けて準備する時間が20年以上ある一方、老後の生活そのものも20年以上続く可能性があります。
40代は「もう間に合わない年代」ではなく、老後が現実味を帯びた今だからこそ、具体的に準備を始める年代なのだと思います。
「いくら必要か」より先に、「いくら入ってくるか」を知る
老後資金について調べると、「2,000万円必要」「3,000万円必要」といった数字が並びます。
しかし、必要額は全員同じではありません。公的年金、退職金、企業年金、住居費、働く期間、家族構成、望む暮らしによって変わります。
だから私は、いきなり大きな目標額を置くより、まず老後に入ってくるお金を確認するほうが先だと考えています。
- 公的年金の見込額
- 勤務先の退職金
- 企業型確定拠出年金や確定給付年金
- 現在の預貯金と運用資産
- 老後も続ける可能性がある仕事の収入
日本年金機構の「ねんきんネット」では、現在と同じ条件で60歳まで加入した場合の簡易試算だけでなく、今後の働き方や受給開始年齢を変えた試算もできます。
不足額を考えるのは、そのあとです。
月1万円でも、20年続けば「何もしない」とは違う
40代からでは大きな金額を積み立てなければ意味がない、と思うかもしれません。
仮に毎月一定額を20年間積み立て、年3%で運用できたとすると、計算上の結果は次のようになります。
| 毎月の積立額 | 元本 | 20年後の試算額 |
|---|---|---|
| 1万円 | 240万円 | 約328万円 |
| 3万円 | 720万円 | 約985万円 |
| 5万円 | 1,200万円 | 約1,641万円 |
毎月の積立額と20年後の試算
年3%で毎月積み立てた場合の単純試算
※手数料・税金を考慮しない試算です。運用成果を保証するものではありません。
これは手数料や税金を考慮しない単純な試算であり、年3%の運用を保証するものではありません。相場によって元本割れすることもあります。
それでも、月1万円を20年間積み立てれば、元本だけでも240万円です。「十分ではない」と切り捨てるより、老後の選択肢を一つ増やすお金と考えたほうが、私は現実に近いと思います。
金融庁の「つみたてシミュレーター」では、積立額、期間、想定利回りを変えて試算できます。
40代は、若い頃よりも「現実」が見えている
20代には時間があります。しかし、40代には40代の強みがあります。
- おおよその収入水準が見えている
- 家族構成や住まいの方向性が固まりつつある
- 勤務先の退職金や企業年金を確認できる
- 毎月の生活費を現実的に把握しやすい
- 老後にどのように暮らしたいかを想像しやすい
若い頃より運用期間は短い一方、何のためにお金を準備するのかは、以前より明確になっています。
金融庁も、資産形成では家計管理とライフプランニングを出発点とし、その人の資産状況やライフプランに応じて貯蓄と投資を使い分けることが大切だと説明しています。
参考:金融庁「資産形成の基本」
焦って投資額を増やす前に、三つの土台を整える
1.家計を黒字にする
毎月の収支が赤字のままでは、積立を長く続けることが難しくなります。まずは収入と支出を把握し、少額でも残る仕組みを作ります。
2.負債の金利と返済計画を確認する
借入れがある場合は、残高、金利、毎月の返済額を確認します。投資の期待収益は不確実ですが、借入金の利息は契約に基づいて発生します。返済と積立の配分は、家計全体で考える必要があります。
3.生活予備資金を確保する
手元資金がなければ、予定外の支出が起きるたびに積立を崩したり、新たに借りたりすることになります。投資に回す金額より先に、暮らしを守るお金を考えます。
40代から始める焦りは、ときに無理な投資額や大きなリスクにつながります。遅れを一度に取り戻そうとしないことも、長く続けるための工夫です。
今日からできる、老後資金づくりの順番
- ねんきんネットで年金見込額を確認する
- 勤務先の退職金・企業年金制度を調べる
- 現在の預貯金、運用資産、負債を書き出す
- 老後の毎月の生活費を大まかに置く
- 無理なく続けられる積立額を決める
最初から正確な老後資金計画を完成させる必要はありません。働き方も、家族の状況も、制度も変わります。計画は一度作って終わりではなく、定期的に見直すものです。
「もっと早く」ではなく、「今日から」を考える
40代からの資産形成には、20代と同じ時間はありません。
しかし、20年という時間は、何もしなければ過ぎていきます。少額を積み立てることも、負債を減らすことも、年金の見込額を確認することも、老後に向けた準備です。
私も、順調に資産を増やしてきた人ではありません。負債を抱えた状態から、お金について学び直しています。
だから、「今さら遅い」と感じる気持ちはよくわかります。
それでも、過去の自分を責め続けても、残高は変わりません。今日、数字を一つ確認する。来月から少額を積み立てる。返済を一回進める。
老後資金づくりは、特別な一日から始まるのではなく、そんな小さな選択の積み重ねなのだと思います。
※本記事は、金融制度や資産形成についての一般的な情報を提供するものであり、特定の金融商品への投資を推奨するものではありません。投資には元本割れなどのリスクがあります。制度の利用や商品の選択は、最新の公式情報を確認し、ご自身の家計や目的に合わせて判断してください。

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